脳血管内治療に特化した最新血管撮影装置 Siemens社Artis icono D-spin

当院では2008年よりカテーテルを用いて様々な脳血管疾患の治療を行う脳血管内治療を積極的に導入しております。2021年5月には、脳血管内治療に特化した最新血管撮影装置 Siemens社製Artis icono D-spin(以下icono)を新潟県内で初めて導入いたしました。(同装置は2022年12月時点で日本国内32台稼働、新潟県内では当院のみ)iconoは脳血管内治療を迅速かつ安全に行うための様々な機能を有しており、そのいくつかをご紹介します。
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2方向同時・3次元回転撮影で
瞬時に3次元画像

iconoは2方向同時撮影のできる正面と側面に2つのアームを持つバイプレーンシステムです。従来のバイプレーン装置で3次元回転撮影を行う場合は、側面アームを待避位置まで移動させてから、正面アームで撮影を行っていました。iconoでは側面アームを待避させることなく正側アームを同時に回転させて撮影ができ、瞬時に3次元画像を得ることができます。

脳動脈瘤の3次元回転撮影
以上からより迅速な診断や脳血管内治療を行うことができ、脳動脈瘤のコイル塞栓術、通常のコイル塞栓術では治療困難な動脈瘤に対するフローダイバーター治療、脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻塞栓術、頸動脈ステント留置術などあらゆる脳血管内治療に貢献しています。
A:左中大脳動脈に大きな動脈瘤
B:目の非常に細かいステントであるフローダイバーター留置術試行
C:直後の血管撮影では動脈瘤が描出
D:3ヶ月後血管撮影で動脈瘤消失
A:左中大脳動脈に大きな動脈瘤
B:目の非常に細かいステントであるフローダイバーター留置術試行
C:直後の血管撮影では動脈瘤が描出
D:3ヶ月後血管撮影で動脈瘤消失

血栓回収療法の適応決定に
用いられるソフトを搭載

iconoでは血管撮影装置によるCT画像(cone-beam CT)を撮影できるのみでなく、欧米では血栓回収療法の適応決定に広くに用いられているCT, MRIを用いた脳幹流画像解析ソフト”RAPID”が血管撮影装置で試行できるsystemも搭載しています。造影剤を注入しながらcone-beam CTを5往復10回撮影し(動画: 2倍速)撮影後5分で脳灌流マップが自動的に作成され(図: RAPID画像)、迅速かつ正確な治療適応の決定ができます。脳主幹動脈閉塞疑いの患者さんは、従来救急外来からMRI室もしくはCT室に搬送し、画像診断を行い、適応があれば脳血管撮影室に移動し、血栓回収術をおこなっていましたが、当院のiconoを用いることで患者さんを救急外来から直接血管撮影室に搬送(DTAS)し、cone beam CT, RAPID ANGIOを試行、適応となればそのまま血栓回収術を試行できる体制を構築しています。DTASにより、病院搬送から血栓回収術開始までの時間が、従来の約1/2以下の時間で治療を開始できるようになっており、1分でも早い治療が必要な血栓回収術には大きなアドバンテージを得ています。

図: RAPID画像

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