第1号 平成6年4月1日
「信楽園病院だより」創刊のことば
お年寄りの目の健康 

”信楽園病院だより”は、当院の診療内容や保健活動などを皆様にお知らせし、また、最新の医療情報もお伝えする目的で、定期的に発行することにいたしました。医学はすばらしい勢いで進歩しておりますが、私たちも皆様のご期待にそえるように、最高の診療を目ざして努力を重ねております。”病院だより”を通じて、当院の機能をご理解たまわり、健康管理にご利用いただけれは幸いです。

待望の眼科開設

新潟大学助教授でありました「大石正夫先生」が当院に赴任し、昨年11月1日から診療を行なっております.眼科の診察日は、月曜日、水曜日、金曜日です。

お年寄りの目の健康

 「目は心の窓」といわれます。相手の目をみれば、その人の心の中までよみとれるともいわれます。なぜなら、目は脳の中が見える窓であるから・・・・目は脳がおもてに見えているところだから!

 このように大切な目も、お年寄りになると「老化」がはじまってきます。ではお年寄りになると、目はどのように変わってくるものでしようか。目は一般に40才ごろから老化がはじまるといわれます。眼球そのものにも、目のまわりの組織(まぶた、目の筋肉、涙など)にも変化があらわれてきます。これらの変化のうち、おもなものについてお話してみましょう。

◆涙について

 涙は目にとって‘いのちの水”のようなはたらきをしています。ところが老化により涙腺の機能が低下して、目がカワいたり、目に入ったゴミが涙で流されずにクロメについて角膜炎をおこすことになります。いわゆる「カワキメ」で、ゴロゴロしたり、目の痛みがでてきます。「人工涙液」という目薬を点眼します。

◆水晶体(レンズ)についてお年寄りで水晶体の中身に濁りがおこると白内障(白そこひ)になります。当然見え方がわるくなります。治療は、はじめは目薬を点眼します。進行したら手術で濁った水晶体をとり除いて、人工のレンズ(眼内レンズ)を入れます。また、水晶体が硬くなって弾力性が減少すると、近くのものをみるときにレンズの厚みが増す(調節する)ことができなくなります。これが「老眼」です。適正な「近用眼鏡(老眼鏡)」をかけるようにしましよう。

◆その他、お年寄りでは前房が浅くなり、緑内障(青そこひ)になり易くなります。目が疲れ易い(眼精疲労)などでは、「眼圧」をチェックしましょう。また、網膜の変化ではものを見る一番大切な中心部に異常をおこす「老人性黄斑部変性症」がお年寄りの視力の障害の大きな原因の一つです。目の異常に気づいたら、できるだけはやく眼科の検査を受けましょう。


第4号 平成6年8月11日発行
脳ドック(9月1日)開始

脳血管障害(脳卒中)や痴呆を心配して、病院を訪れる人は少なくありません。最近、県内でも脳ドックを開設した病院が増えてきました。脳ドックで、脳卒中がどこまで予防できるか議論のあるところですが、脳卒中を心配して来院される方に、現在の脳と脳血管の状態や、脳卒中の危険因子の(高血圧症、糖尿病、高コレステロール血症、心臓病等)の有無をお知らせし、併せて、心配しておられる病気の正しい知識を持っていただく機会にしたいと考え、当院でも9月1日から脳ドックを始めることにいたしました。

《脳ドックで行なう検査》

◆MRIによる脳の断層撮影と脳血管撮影

◆脳卒中の危険因子に関する検査:血圧測定、血液・尿検査、心電図、胸部X線撮影、聴力検査、以上の検査を外来で1日で行ないます。CT、脳波、眼底検査、頚椎X線撮影は希望があれば行ないます。

《費用》脳ドックには保険が適用されないので、自費扱いとなります。上記標準検査で67,050円です。追加検査を希望された場合は、追加料金を加算いたします。なお、一般の人間ドックに脳ドックを追加する場合は、MRIによる2種類の撮影を加えればよいので、人間ドックの料金に52,560円増しになります。脳ドックで、病気が見つかったり疑われた場合は、それ以後、患者さんとして保険を使って精密検査と治療を始めることになります。

脳ドックで分かること》

(1)脳梗塞:以前に脳梗塞にかかっていれは(本人が気がつかないものもあります)、MRIで分かります。MRIによる脳血管撮影(MRA)で太い脳動脈の閉塞や高度の狭窄が分かります。これらがあれば、更に精密検査を行ない、脳卒中の危険因子の有無と併せて、脳梗塞を予防する方針をたてることになります。

(2)脳出血:脳出血は出血して始めてMRIで写しだされますので、古い脳出血の跡が分かっても、これから出血か起こるかどうかを脳ドックで予知することはできません。脳卒中の危険因子があれば、これを治療するなどで予防をはかることになります。

(3)脳動脈瘤:破裂すると、クモ膜下出血を生ずる脳動脈瘤は、3mm以上ならば、ごく特殊な場合を除けば見つけられます。これが疑われたり、見つけられた場合は、1日入院して従来の脳血管撮影で確実に診断し、その後の方針を考えることになります、

(4)痴呆:痴呆の原因の一つであるアルツハイマー病を脳ドックで早期に予知し、進行を防ぐことは不可能です。しかし、脳血管性痴呆との関係がある程度分かっている動脈硬化による脳の萎縮や、小さな脳梗塞の痕などが認められれば、病変が進まないよう、その程度に応じて、対策をたてます.

(5)そのほかの脳の病気:脳腫瘍、慢性硬膜下血腫などの病気が見つかれば、各々の病気に対して治療を行ないます。

《結果の説明》明らかな病気の有無は、検査当日の最後にお話しできますが、脳動脈瘤の有無など、MRAでの診断は、複数の医師で検討し、確実にしたいと考えています。従って、最終結果は、1週間以上過ぎた日に再び来院していただき、時間をかけて説明いたします。再来の日時は担当医と相談の上、お決めください。

《お申し込み方法》外来窓口の医事係で、9月1日から受け付けを開始いたします。



第7号 平成6年12月1日発行
便潜血反応と消化器疾患

最近、検診の検便として、免疫学的便潜血反応が広く用いられるようになりました。そこでこの便潜血反応と消化器疾患についてお話したいと思います。

1.免疫学的便潜血反応検査とは

 便潜血検査は従来、化学反応による検査法がおもに用いられてきました。この方法は、便のなかに血液の色素であるへモグロビンが存在すると、化学反応が起こり試薬が呈色し、血液が混入していることがわかるもので、長い間臨床検査に用いられてきました。しかし、この方法は感度が高いという利点がある反面、たとえば食事に血のしたたるようなステーキなどを食べたりすると、その人から出血したのではないのに、潜血反応が陽性になってしまうといった欠点があり、本当に消化管の病気があるのかどうかが不明でした。しかし、昭和62年頃、人間のへモグロビンにのみ反応し、他の動物の血液には反応しないような検査法が発見されました。これが免疫学的便潜血反応です。この方法では、便中に含まれるへモグロビンが人間のものでなければ反応は起こりえず、食事の制限が必要なくなった上に、食道や胃からの出血ではへモグロビンが変性してしまい、この便潜血友応では反応しないため、便潜血陽性となった場合ほとんどが大腸の出血であることが分かり、にわかに下部消化管の病気のスクリーニング検査として、脚光を浴びるようになったのです。

2. どのような病気体見つかるのか

 さて、このように便潜血反応が陽性となった場合、大腸に出血を起こすような病気があることが多いのですが、どのような病気が見つかるのでしょう。まず頻度的に多いのは、大腸ポリープ(腺腫)です。これは、大腸のなかに、いぼのようなものが飛び出す病気で、良性ですが腫瘍性の病気です。大きさは1mmから大きいものでは4〜5cmにもなり、大きさ2cmを超えるものは一部に癌を合併することが多いとされています。しかし、この段階で見つかれば内視鏡で切除でき、手術を受けなくとも完治可能です。大腸癌も便潜血陽性となる病気のひとつで、放っておけば将来的に転移を起こしたり、癌が大腸をふさいでしまい、腸閉塞となってしまうため手術が必要です。しかし大腸癌も早期発見によって完治可能な病気です。その他、大腸の結核、クーロン病、潰瘍性大腸炎といった腸の炎症、痔などでも便潜血は陽性となります。

3. 大腸の検査について便潜血が陽性となり、大腸を検査することになった場合、大腸を内視鏡で検査することになります。以前はかなり苦痛を伴い、敬遠されがちだったこの検査も、最近では、内視鏡機器の改良、挿入のテクニックの向上により、かなり苦痛は緩和され人によっては胃カメラより楽だった、と言う入も増えてきています。検査時に安定剤の注射もするので、気がつかないうちに検査が終わることもあります。検便で要精検の診断がついたら、ちゅうちょなく検査を受けられるようおすすめいたします。



第9号 平成7年3月6日発行
かぜ、インフルエンザの話
 今年の冬はインフルエンザが流行り、高熱をだした方も多かったことと思います。ピーク時には当院の待合室にもマスクをして、赤い顔をして、咳などしている方も多かったようです。ようやく寒さも緩み、かぜのピークも去ったようですが、まだまだ油断していると意外と大変なかぜをひきやすいものです。そこで今回はかぜ、インフルエンザのお話しをいたします。 

 かぜの犯人は、ほとんどがウイルスです。かぜの原因となるウイルスの種類はなんと、 200種類以上と言われています。いわゆるインフルエンザとは、インフルエンザウイルスによるかぜのことで、他のウイルスに比べて流行しやすいこと、高熱がでやすいため、食欲不振、発汗などにより体力を消耗しやすいことなどが問題となります。

 かぜのウイルスは、私たちの鼻やのど、気管の線毛細胞に感染できる能力を持ち、そこで増殖しながら細胞を破壊して、近くの細胞にまた感染します。線毛細胞が破壊されると私たちののどや気管は、細菌を外に追い出す力が弱くなり、細菌感染をうけやすくなります。かぜのウイルス感染だけなら、体力が回復すれば自然に治癒しますが、お年寄りがかぜがもとで肺炎をおこすなどで、重症化するのはこういったことからきています。かぜは万病のもとと言われる所以でしょう。かぜをひいたら、他に病気が隠れていないか早めに医師の診察を受けましょう。
 
かぜの症状には、発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、鼻水、くしゃみ、咳、痰などがあります。また、かぜをひくと下痢をすることもあります。いわゆる総合感冒薬はこのうちのいくつかの症状を和らげる薬で、かぜのウイルスを弱らせる薬ではありません。症状をよく話して、症状にあった薬を処方してもらうことが大切です。また、休養にまさる薬はないともいえます。かぜをひく時は、疲れがたまったりして身体が弱っていることが多いので、栄養のあるものを食べて、薬を飲んで、暖かくしてゆっくり休むことがなによりです。また、ふだんからかぜをひかないように、疲れ過ぎないようにし、外からかえったら手洗い、うがいをするなどして気をつけることはさらに大切でしょう。   
 それでは、みなさん、かぜをひかないようにお元気でお過ごしください。         


第10号 平成7年4月1日発行
薬を正しく上手に飲むために
 薬は決められた時間に決められた量を服用して始めて安全に効果が現れます。勝手な服用は危険です。薬について正しく理解し、きちんと服用して治療の目的を達成しましょう。

1.薬の作用(効き目)
薬にはいろいろな作用(効き目)があります。ご自分の飲んでいる薬は何の作用かできるだけ理解しましょう。自己判断で勝手に調節したり止めたりすると、薬によってはかえって前よりも悪くなったり、思わぬ副作用がでることもあります。          

2.薬を飲むときの注意
薬の種類を確認し、用法、用量、使用上の注意を守って下さい。
 
1)用法・・・・飲む時間、回数 
薬はその性質や患者さんの体質、容態等により、飲む時間と飲む回数が異なります。ほとんどの薬は飲み忘れを防ぐため、食事を目安に『食後約30分』になっています。30分待ってて忘れるようなら『食後すぐ』でも構いません。 他には『食間=食後約2時間』、『食前約30分』、『食後すぐ』、『寝る前』、などの用法があります。食事で薬の吸収が悪くなる薬や、胃を刺激する薬などそれぞれに理由があります。
2)頓服薬・・・・症状を一時的に改善させる薬
痛み止め、熱さまし、咳止め、狭心症発作の予防薬、下剤などは症状を一時的に改善させる目的で(決まった時間ではなく)必要に応じて用います。しかし、すぐに効かないからといって、何回も飲むのは危険です。頓服薬はどういう時に飲むのか、必ず確認して下さい。

3.副作用   
薬にはいろいろな作用があります。その中で病気にとって都合のよい作用が主作用、悪い作用が副作用になります。つまり副作用の全くない薬はありません。しかし、全ての人に多発するわけでもありません。薬の副作用を少なくするためには、まず薬の飲み方、保存をきちんと守って下さい。過去に副作用と思われる症状の現れたことがある人は必ず医師に伝えてください。
万が一にも副作用が現れた場合は、病院に連絡し指示を受けて下さい。

4.薬の保存
薬は化学物質なので温度、湿度、光等の影響を受けやすいものです。激しい温度変化や多湿を避け直射日光の当たらない場所に保管して下さい。冷蔵保存の必要のある薬には薬袋に『要冷蔵』と書かれていますので、凍らせないように冷蔵庫に保管して下さい。



第11号 平成7年5月1日発行
花粉症でお悩みの方へ

 花粉症とは花粉を抗原とするアレルギー性疾患で、出現する症状は鼻症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)や眼症状(かゆみ、涙)が主なものです。この病態は、ある特定の花粉抗原により特別な抗体が産生され、粘膜表面に存在する肥満細胞に働くことによって成立します。肥満細胞からヒスタミンなどの物質(ケミカルメディエーター、かゆみをおこす物質)が遊離され、それに鼻粘膜や結膜が反応し、様々な症状が出現します。
 原因植物は40種類以上あり、ほとんどが風媒花で、春は樹木、夏から秋にかけては雑草の花粉が主なものです。日本で最も問題になるのは2〜4月の木本花粉季節(tree season)で、スギ、ヒノキ、ハンノキなどの花粉が抗原となります。5〜7月はイネ科花粉季節(grass season)と呼ばれ、カモガヤ、オオアワガエリが主なものです。8〜10月の草本花粉季節(weed season)にはブタクサ、ヨモギ、カナムグラが多くなります。その他職業性花粉症として、イチゴ、リンゴ、サクランボ、ナシ、ウメ、モモなどによるものもあります。職業性花粉症は虫媒花花粉が原因とされています。
 花粉の粒子径は大きいため、ほとんどが鼻粘膜にとどまり、他の抗原のように気道に深く達して喘息をおこすことはほとんどありません。
 花粉症の治療薬としては主に3種類のものがあります。抗アレルギー薬は効果がマイルドであるため効果発現までには1〜2週間の連用が必要です。内服の持続により有効率は高くなります。花粉飛散の1〜4週間前から服用し季節終了まで続ける服用方法もあります。次にケミカルメディエーター拮抗薬があります。アレルギーのケミカルメディエーターにはたくさんの種類がありますが、現在使用される薬剤は抗ヒスタミン剤とトロンボキサンA2阻害剤が主なもので症状を抑えます。第3はステロイド剤で、主に局所的に使用されます。局所ステロイド薬は効果発現は早いのですが副作用に注意が必要です。乱用しない様にして下さい。
 花粉の多い日には、外出を控えたり、雨の日以外は日中窓を閉めたりして、花粉との接触を防いで下さい。また、花粉症用のマスクやめがねも有効です。外から帰宅したら洗顔、うがいなどを行うように心掛けることも大切です。 


第12号 平成7年6月1日発行
放射線で行われる検査より
 現在の医療は、疾病の量、質とも多様化し医療レベルも高度化しております。より良い診断を行い、予防や治療に必要なために、信楽園病院放射線科で行われている検査について、簡単に紹介します。

●CT検査
X線で目的部位の断層撮影を行いコンピュータ処理により各部位の病変、病巣を明らかにするために行う検査です。頭部、胸部、腹部など全身の撮影が可能です。検査は、仰向けに寝てドームの中に入り撮影します。検査時間は頭部で10分位、胸部、腹部で15分位ですが、造影剤を使用しますと倍の時間になります。腹部検査のみ空腹時での撮影になりますので検査当日は、食事を摂れません。検査は予約の方が優先いたしますが外来当日でも受付いたします。
●MRI検査
MRIとは、磁気共鳴診断装置と呼ばれ磁石を使って体の断面像を写しだす装置です。縦、横、斜めとあらゆる角度の断面像を写すことができます。この断面像から体内の様子が詳しく解り、診断や治療に大変役立ちます。検査は普通、仰向けに寝てトンネルのような中に入ってもらいます。およそ30分から1時間で終了します。この間、検査による痛みはありませんが、少し耳障りな音がします。放射線を使わないため安全面でも優れた検査です。時間がかかる検査のため、完全予約制で行っています。
●骨密度測定検査    
高齢化社会が進み、それに伴い高齢者の骨粗鬆症に対する関心が非常に高くなってきています。骨粗鬆症の診断、早期発見のために骨量の測定を行う検査です。測定部位は、腰椎、全身、腕など有りますが主に腰椎の測定になります。検査は10分位仰向けに寝ていれば終了します。原則として予約検査ですが外来当日でも可能な限り受付いたします。
●腹部超音波検査
 超音波を使用し肝臓、胆のう、膵臓、腎臓の病変、結石などの有無を知るために行われる検査です。超音波探子を目的部位に走行させるだけの検査ですので痛みはほとんどありませんが、腸内ガスが多いと検査の妨げになりますので検査当日は、朝食は摂れません。検査時間はだいたい15分位で終了いたします。食事の関係で予約検査となっています。検査部位によっては外来当日でも検査可能です。

 以上の検査の他にアイソトープを用いるRI検査、体内の血管を写しだす血管撮影検査、バリウムを使っての胃、腸検査なども行っています


第13号 平成7年7月1日発行
夏バテ予防の食事
 わが国のように長い梅雨のあとに迎える高温多湿の夏を快適に過ごすことはなかなか困難なことで、とかく夏バテを起こしやすいものです。“暑い夏に負けないためには”、基本的に規則正しい生活を送ることです。すなわち、適度な運動と十分な休養、適切な食事管理以外にありません。なかでも食事管理は特に重要であるにもかかわらず、暑さに負けて食生活は乱れがちです。

1.夏バテの原因
(1)暑さのため消化器の働きが弱まり胃液の出方が低下し、食欲不振におちいりやすくなる。
(2)冷たくてサッパリとした、そうめん、冷麦などの食事ですませることが多くなったり、ジュース類の飲みすぎにより糖質食品に偏り、たんぱく質や脂肪、ビタミン、ミネラルが不足がちになり、栄養のバランスがくずれやすく活力低下や疲労、寝不足も手伝って食欲が進まなくなる。
(3)夏は何もしなくともたくさんの汗をかき、かなりの量の塩分、ビタミンB群が失われ、疲労に一層拍車をかける。

2.夏バテを予防する食事のポイント

(1)消化のよい良質なたんぱく質を食卓に取り入れ、糖質食品に偏ることなく“かさ”が小さくて高エネルギーの油脂を上手にとるよう心がける。

(2)食欲増進や体の細胞に活性を与えるビタミンやミネラルが不足しないよう食事をバランスよくとる。

(3)香辛料(ニンニク、しょうが、こしょうなど)や酢などを上手に使って消化液の分泌を促し食欲を増進させ、料理の工夫をもたせる。

(4)汗の多いときは水分の補給とともに塩分も増やすようにする。
暑さからの夏バテを防ぐ基本は食生活です。夏バテの原因を知り、その予防の食事と生活を自ら管理することが大切です。


第14号 平成7年8月1日発行
冷房病について
 暑い夏を快適に過ごすための冷房も適切な使い方をしなければ、体調をくずす原因となります。冷房によって発生すると考えられるいろいろな症状を『冷房病』と呼んでいます。
 その症状には、『体がだるい』、『風邪をひきやすい』、『下痢をしやすい』、『関節が痛い』などがあります。原因はいろいろ考えられますが、大きな原因は冷やし過ぎがあげられます。冷やし過ぎは低温そのものが身体に影響すると同時に、外気温との温度差を大きくします。そして、その温度差は戸外と冷房室を出入りするとき有害な影響を及ぼします。私たちは寒さにあうと皮膚の血管が収縮し、皮膚の血流量を減らすことで熱を逃がさないようにしています。逆に暑さの場合は皮膚の血管を拡張させ、皮膚の血流を増やして熱交換率をあげて熱を逃がしています。このように皮膚の血管を収縮させたり、拡張させたりして体温を調節できる範囲は温度差にして5〜7℃といわれています。このことから、外気温と冷房室との温度差を5〜7℃以内にすることが、予防のためには大切なのです。
 暑さや寒さの感覚には気温だけではなく、湿度や風が影響します。湿度が低いと暑さもしのぎ易くなりますが、あまり除湿をすると口腔やのどの粘膜が乾燥しますので注意しましょう。風は身体から蒸発などにより大量の熱を奪います。冷風を直接長時間うけることは避けるようにしましょう。
 ところで、冷房病はどういうところで起きやすいと思いますか。それは、職場や病院、電車など個人で温度を調節できないところで起きやすいのです。そういう場所で、自分に快適な環境をつくるためには衣服による調節しかありません。着脱の簡単な衣服により、適応するよう工夫しましょう。
 また、快適温度は個人により異なりますし、同じ人でも、その時の体調により違います。特に、新生児、高齢者、病人などは環境の変化に対する適応力が弱いので注意が必要です。
 
 冷房病は本人とまわりの人の工夫でかなり予防ができるものです。
1)外気温と冷房室の温度差を5〜7℃以内にしましょう。
2)冷風に長時間、直接あたらないようにしましょう。
3)個人で温度の調節をできない場合は衣服により調節しましょう。
以上を心掛けるだけでもかなり冷房病を防げるはずです。快適な夏を過ごしましょう。


第15号 平成7年9月1日発行
骨粗鬆症について
●骨粗鬆症とは
 最近、骨粗鬆症という言葉が広くマスコミなどで使われるようになってきました。壮年期に達する人の中には関心を持っている人も少なくないのではないでしょうか。
 骨粗鬆症については、女性特有の閉経後におこるものと、加齢に従って起こるものに大部分は分けられると思います。骨は、絶えず古い骨を壊し、新しい骨を作ることを繰り返しています。女性ホルモンは、骨を壊す働きを抑えて、新しい骨を作る働きを進め骨の量を保とうとします。
 そのために女性ホルモンのとまる閉経後は骨折、特に腰椎圧迫骨折などが多くなります。さらに腸内からのカルシウム量の吸収低下など種々の原因が考えられます。

●骨粗鬆症を防ぐためには
 骨の量を保つためにはいうまでもなくカルシウムの摂取量は大切です。一日に必要な量は、約400・といわれています。たとえば牛乳2本分、豆腐2丁、小松菜200gなどですが、それらを適当に組み合わせることが必要でしょう。
 喫煙女性は骨量が低下しており、運動不足も骨粗鬆症の危険因子となります。長期入院している患者さんの場合を例に取れば、一週間に1%づつ減少し、数ケ月で10〜20%減少するといわれています。逆にゲートボールなどの運動を継続することによって20%増加したという報告などもあり、無理せず長く継続することが大切であると思われます。病院にかかる前に以上のようなことに心がけることが大事でしょう。


第17号 平成7年11月1日発行
タンパク尿・血尿の話
 尿は、腎臓のネフロンといわれる糸球体と尿細管からなる小さな構造で作られます。腎臓を流れる血液は糸球体を通る間に、血液の細胞や大きな分子(タンパク質など)を除いてろ過され、原尿となります。続いて通る尿細管では、原尿から生命を保つために必要な水分・電解質・ブドウ糖・分子量の小さいタンパク成分などを再び吸収し、残りを私たちは尿として排泄しています。したがって、正常な状態では尿中に赤血球やタンパクの混入はほとんどみられません。
 しかし、尿中にタンパクが全く存在しないわけではなく、糸球体の膜にある小さい穴を通過した、ごく微量のタンパクは健康な人の尿にも存在します。 (1)のタンパクのみを大量に尿中に認める場合は、まず腎臓の病気を考えなくてはなりません。1日の尿量、1日の尿タンパクの量、タンパクの種類などの詳しい尿検査と、血液検査で腎臓の機能を調べていきます。尿は正常では淡黄色〜黄褐色ですが、血液が混ざり赤い色を呈している状態を『肉眼的血尿』といいます。暗赤色〜黒色(コカコーラやしょう油の様な色です)の場合は、主に腎臓の病気が考えられます。鮮紅色の場合は、腎臓だけでなくそれより下の尿路の病気(尿路結石、膀胱炎、腫瘍など)も考えられます。眼で見て正常な色をしていても、顕微鏡を使って見ると赤血球を認める状態を『顕微鏡的血尿』といいます。この場合も血液の混入する原因を確かめる検査が必要です。したがって、血尿といっても必ずしも赤くないことを知っておいて下さい。
  (3)のタンパク尿と血尿の両方がみられる場合は、種々の腎臓の病気が考えられるため、診断がつくまで検査を進める必要があります。超音波、CT、腎生検などの精密検査で最終診断をしています。
 自覚症状の有無にかかわらず、一般診療所や集団検尿などで偶然(チャンス)に発見されたタンパク尿例・血尿例を『チャンスタンパク尿・チャンス血尿』といいます。たまたま異常であったか否かを確認することが、病気を見逃さない第一歩です。再検査で異常なしでも、定期的に血液・尿検査をし、経過観察していくことも大切です。
 チャンスタンパク尿・チャンス血尿は健康状態を振り返るgood chance!と考えましょう。


第18号 平成7年12月1日発行
胃の中の細菌 ヘリコバクター・ピロリ

1.ヘリコバクター・ピロリとは?       

 みなさんは、ヘリコバクター・ピロリという妙な名前をテレビや新聞でご覧になったことがますか?

 ヘリコバクター・ピロリとは、近年、医学の世界で話題をふりまいている細菌の名前で、この細菌が胃炎や胃・十二指腸潰瘍などの原因の一つとなるのではないかといわれ始めているのです。

2.名前の由来は?

 ヘリコバクター・ピロリのヘリコとはらせん形、バクターとは細菌、ピロリとは胃のゆう門(胃の十二指腸近くをゆう門といいます)という意味です。従ってヘリコバクター・ピロリとは、胃のゆう門のあたりに多く住み着くらせん形の細菌という意味です。

3.性質は?

 ヘリコバクター・ピロリは、1983年に人の胃粘膜から初めて検出されました。十二指腸潰瘍の患者から約90%、胃潰瘍の患者から約70%、胃炎の患者から約60%と高率に検出されるため、これからの病気の病原菌として疑われ、さまざまな検討が加えられてきました。例えば、実験的にヘリコバクター・ピロリ胃炎が発生し、抗生物質でこの菌を駆除すると胃炎は治癒しました。また、潰瘍を繰り返す人の胃の中のヘリコバクター・ピロリを駆除すると潰瘍の再発率が明らかに低下しました。疫学的にも胃炎や胃・十二指腸潰瘍にかかっている人は、健康な人に比べてヘリコバクター・ピロリの感染率が高いという事実が証明され、ヘリコバクター・ピロリが、胃炎や胃・十二指腸潰瘍の原因となるのではないかと強く疑われました。

4.胃癌との関係は?

 しかし一方、いろいろと複雑な病態を示す胃や十二指腸の病気の原因が、単独の細菌感染によるものだと考えるのには多少無理があり、また、どのようにしてこのヘリコバクター・ピロリがこれらの病気を生み出すのかはっきりとは解明されておらず、現在さらにあらゆる方面から検討が進められています。胃癌との関係についても疫学的には強く疑われておりますが、ヘリコバクター・ピロリと胃癌との直接的な関係はまだ明らかではありません。

5.治療は?              

 ヘリコバクター・ピロリは、口から感染すると考えられていますが、伝染性はさほど強くなく、感染しても特に症状はありません。近年ようやくこれらの消化器病とヘリコバクター・ピロリとの関係が疑われ始めたばかりで、直接的な因果関係は十分解明されていないため、我が国では特に治療は行っておりませんが、欧米では抗生物質を使った治療が試みられており、今後の研究成果に期待するという段階です。 


第19号 平成8年2月発行
風邪にかかったら

風邪が猛威をふるう季節がやってきました。咳、鼻水、喉の痛み、発熱、頭痛....。みなさんは、風邪にかかった時、どうしていますか?

 一般に、風邪といわれる病気は、医学的には『かぜ症候群』といいます。これは、上気道の急性炎症の総称です。かぜ症候群は大部分、ウイルス感染症ですが、細菌、マイコプラズマ、クラミジア等が原因となることがあります。今年も流行のきざしがみられるインフルエンザは普通、かぜ症候群とは区別されます。

 風邪にかかったらまず安静。ごくごくあたりまえの事ですが、患者さんに指導して一番守られていないのが、この安静です。これを守ると守らないとでは、回復具合に大きな差がでてきます。

 次に保温と保湿です。普段は気にならないような部屋の温度差でも、風邪をひいている時は体温調節がうまくできず、発熱の原因となります。また、風邪は上気道の急性炎症なので、気道の乾燥を避けるためにも、室内は適度な湿度を保つようにしましょう。

 また、十分な水分補給が大切になってきます。特に子供や高齢者の場合は、数回食事をとらなかっただけで、簡単に脱水症に陥ってしまいます。食欲がないときでも、アイスクリーム、プリン、ヨーグルトなど食べやすいものをとるようにしましょう。また、各種スポーツ飲料などは飲みやすく、水分だけでなく、電解質の補給にも適しているのでおすすめします。

 以上の点に気を付けていただければ、数日間で、大部分のかぜ症候群は軽快します。しかし、症状が強いときは、医療機関での治療をおすすめします。特に、糖尿病、慢性呼吸器疾患、腎不全、その他の基礎疾患をお持ちの方は、かぜ症候群が引き金となり二次細菌感染(抵抗力低下によるバイ菌負け)を引き起こしやすくなっています。早め早めに治療を受けてください。

 たかが風邪と軽く考えず、適切な対応で、今年もこの季節を乗り切りましょう。


第20号 平成8年3月発行
なぜ、けんさ?

病院ではいろいろな検査が行われますが、目的によって大きく二つに分類されます。一つは、予防あるいは早期発見のために行われるもので、もう一つは、ある症状があって、それが何によるものかつきとめ、治療の方針を決め、病気の流れを予測するために行われるものです。                 

病院を受診されますと、まず問診から始まります。『いつごろから、どこが、どのように悪いのか』の症状のほかに生活環境や、これまでの病歴(既往歴)、家族の病歴(家族歴)などについて医師から質問されます。さらに、顔色や、目、口などを調べる視診や、脈をとったり、おなかをさするなどの触診のほか、打診、聴診などを行い、臨床診断をつけます。さらに、この問診で得られた情報を精密に補うために検査が必要となります。

 診断のマトを絞るために行われる検査をスクリーニング検査といいます。スクリーニングとは『ふるい分け』を意味しています。ある症状があって、いくつかの病気の可能性が疑われる段階で行われる検査です。また、定期検診のように、ふだん健康な人たちを集めて、集団的にふるい分けを行うことをマス・スクリーニングといいます。この方法が確立している病気は、早期発見が可能で、治療成績もよく、胃がんがその典型です。

 検査の種類は、受診者から得られたもの(検体)を分析する検体検査と、受診者のからだを直接調べる生体検査に分類することができます。検体検査は、尿、血液、便、たん、腹水のほか、内視鏡や手術でとった組織などを調べます。尿や血液の成分や性質を調べる検査、組織や細胞などを顕微鏡で観察する検査などを行います。生体検査は方法によってさらに分類されます。

●生理学的検査

 血圧、心電図、脳波、筋電図、肺機能など、からだの反応や機能を測定します。

●負荷機能検査

 一定の負荷(刺激や負担)を与えて反応を測定し、臓器の状態を診断します。例えば、腎臓や肺機能検査では色素、糖尿病検査ではブドウ糖、心電図では運動、筋電図では電気刺激などが負荷されます。

●内視鏡検査

 ファイバースコープ(内視鏡)という先端にレンズのついた細長い管を挿入して、気管支や食道、胃、胆道、大腸などを直接観察し、病変部を調べる検査です。

●画像診断

 X線、超音波電磁波などを利用した装置で頭胸、腹部など病変部を明らかにする検査です。

 このような検査を受けられる時には、気になること、わからないことは何でもお尋ね下さい。緊張がそのまま数値に影響することがあります。とにかくリラックスして検査を受けてください。


第21号 平成8年4月発行
胃カメラ検査を受けるにあたって

みなさんの中には『胃カメラは苦しそうだからいやだ』とか『私はバリウム検査を毎年受けているから大丈夫だ』などとお考えの方もいらっしゃると思います。なぜバリウム検査(胃透視検査)だけではなく胃カメラ検査(胃内視鏡検査)が必要なのでしょうか?

 胃カメラ検査は、胃などの内表面を直接くまなく見渡すことができ、バリウム検査ではわからないような小さなただれや潰瘍などを発見することができます。また、粘膜の一部をとってきて顕微鏡で検査することで、早期ガンなどの詳しい診断を行うことができます。

 ここでは、胃カメラ検査を受けるにあたっての大まかな流れを述べたいと思います。 

1.前日

 前日の夕食までは通常の食事でかまいませんが、アルコールは控えましょう。胃の粘膜がむくんで検査に支障を来すことがあります夕食後は水、お茶だけにします。     

2.当日朝               

 当日の朝、起床後は水分もとらないようにしてできるだけ胃の中を空っぽにします。毎日飲んでいる朝のお薬をどうするかについては主治医にあらかじめ確認しておきましょう。

3.検査の前に

 検査にくるときは通常の服装でかまいませんが、脱ぎ着しやすいものにしましょう。検査室では検査を行いやすくするために、いくつかの処置を行います。         

(1)胃の中の空気の泡を消すお薬を飲みます。

(2)のどの麻酔スプレーをします。これによって胃カメラが飲みやすくなります。  

(3)肩あるいはおしりに注射をします。この注射は胃の動きを止めて検査を行いやすくするためのものですが、心臓病、緑内障(白内障は大丈夫です)、男性で前立腺肥大症を患っている方は注意が必要です。この注射をしなければ絶対に検査できないわけではありませんので、心当たりの方は注射の前に必ず申し出てください。

4.いよいよ検査です   

 検査台にあがったらベルトなどはゆるめます。目を閉じずに全身の力を抜いてください。目を閉じるとかえって力が入ってしまいます。カメラがのどの奥に達したらゴックンとカメラを飲んでしまえば苦しいところは終りです。胃の一番奥のほうから順番にカメラで見ていきます。検査中は表面をよく見るためにカメラから空気が送り込まれます。ゲップが出そうになるかもしれませんが、できるだけ我慢していただくと検査がスムーズに終わります。

5.検査の後  

 お疲れさまでした。検査室に入ってからここまでで約20分くらいです。朝から水も飲んでいないし、検査で緊張してのども渇いたし水でも一杯・・・・ちょっと待ってください。まだのどのスプレーや注射が効いています。検査の後1時間は何も口に入れないようにしましょう。

 いかがでしょうか。だいたい検査の流れがわかっていただけたことと思います。『何だこの程度か』と思われたかもしれません。胃カメラ検査のコツはリラックスして検査を受けることです。この説明がみなさんの不安を和らげる一助となることを願っています。


第22号 平成8年6月発行
禁煙のお手伝い〜禁煙ガム(ニコレット)を使用して〜

タバコを吸っている方で禁煙を試みられた方も多いと思います。大変な努力をして禁煙に成功された方、途中で挫折した方、やめたけれど太ってしまった方など、様々いらっしゃると思います。でも心配にはおよびません。統計では完全に禁煙に成功したのは全喫煙者の11%しかいませんので、禁煙できない人が特に意志が弱いというわけではなさそうです。

 それではなぜ、禁煙はこんなにも難しいのでしょうか。それは、タバコに含まれるニコチンが、脳の快楽中枢に働いて、快感をもたらすために、喫煙者はどうしても、ニコチンに対して精神的にも、身体的にも依存してしまうからなのです。ニコチンは少量で興奮、大量で気を落ち着ける働きがあります。そのために、禁煙によって血中ニコチン濃度がさがるとイライラしたり、集中力が低下したりします。これを、ニコチン離脱症状と言います。

 とは言え、咳や痰が止まらない方、心臓の悪い方、胃潰瘍のある方など、医者として、どうしても禁煙していただかないと治療が困難な方も大勢いらっしゃいます。なんとか、もう少し楽に、確実に禁煙していただく良い方法はないか、ということで、当院ではニコレットという禁煙ガムを採用して、禁煙が必要な方のお手伝いをしています。ニコレットを一個かむと、タバコを一本吸うのと似たような、ニコチンの血中濃度が保たれます。これにより、禁煙によるニコチン離脱症状を軽くすることができます。タバコと違い、タールや一酸化炭素は含まれませんのでタバコほど害はありません。3カ月くらいかけてニコレットの個数も減らしていって、タバコはもちろん0、ニコレットも0になったら禁煙成功です。

 禁煙したいんだけど、どうも....という方、禁煙に失敗した方、体の調子がいまひとつすぐれない方、どうぞ、当院にご相談ください。


第23号 平成8年8月発行
肥満 〜明らかになりつつある遺伝子異常の肥満〜

 「私は水を飲んでも太るのに、あなたはいくら食べても太らないのね、うらやましいわ。体質かしら」! いったい太る体質とか太らない体質というのはあるのでしょうか?

 この答えとして今最もホットな話題、肥満の原因となる遺伝子のことを話しましょう。

 1つはレプチンです。肥満するとレプチンがたくさん分泌されて、頭の中の満腹中枢を刺激して食欲を抑え、エネルギー摂取を低下させます。ところがレプチンや脳の受容体の遺伝子に異常が起こると、肥満状態となってもレプチンが分泌されなかったり、食欲が抑えられないため、ますます肥満になることが判って来ました。

 もう1つは、ベータ3 アドレナリン受容体(以下ベータ3 受容体とします。)です。ベータ3 受容体が、正常の場合には、過食や肥満するとベータ3 受容体の働きが高まり、エネルギーをたくさん消費して肥満を抑えます。しかし、ベータ3 受容体の異常が起こると、過食したり肥満になってもエネルギー消費量が高まらないので肥満がさらに助長されます。このベータ3 受容体の異常を5人に1人がもっていて、しかも万国共通の遺伝子異常であることが、ごく最近明らかになりました。

 ベータ3受容体の異常を持っている人が、すべて肥満するかどうかですが、その後の研究によれば、ベータ3 受容体の異常のある人の中にも、そんなに肥満していない人もおり、肥満は、遺伝子の異常(太りやすい体質)と環境因子(食事や運動、飲酒など)が関わっているようです。

 生活慣習の改善が大切な理由が、ここにあります。1989年国民栄養調査の身体状況調査によれば、男性では7人に1人、女性では6人に1人が肥満と報告されています。「食べても太らないやせの大食」タイプと「少し食べてもすぐ太る」タイプについての疑問が、遺伝子研究の進歩で少しずつわかり始めています。というわけで、肥満に対する研究成果に私たち栄養士は、今、目が離せないのです。


第24号 平成8年10月発行
病気に伴う生活の問題とその解決のために

ケースワーカー室は医療福祉の相談室です    

 私たちは、病気をすることによって健康な時には想像もしなかった問題に遭遇し、家庭や社会の生活にも支障をきたすことがあります。ケースワーカー室では、そうした問題の解決の方策を患者さんや家族の方々といっしょに考え、援助する仕事をしています。

 病気に伴い、生活面にこんな問題を抱えることがあります

◎医療費の支払いが困難である。

◎病気のため働くことができず生活費のやり繰りが困難になった。

◎病気に対する不安や先行きのことが心配で、落ち着かない。

◎介護する家族がいないため、体が不自由なままでは帰れそうもない。

◎重い障害を抱えて退院することになるが、家庭でどのように介護したらよいかわからない。

◎職業(学業)に復帰したいが、どのように相談をすすめていったらよいかわからない

◎職場や学校で病気のことが理解されず、人間関係がうまくいかない。

◎医療保険や福祉サービスの利用のし方がわからない。

社会資源を有効に活用し問題解決の方策を検討してみましょう。

このように病気に伴って生じた問題に対処するために利用できる制度やサービス、施設や機関あるいは専門家の知識や技術、様々な人たちの援助など……私たちが問題解決のために利用できるあらゆるものを社会資源といいます。

 その人によって、利用できる社会資源は異なりますが、それぞれの人がもっている条件や状況に合わせて利用可能な社会資源をみつけ出し、問題を解決するてがかりを捜してみましょう。ケースワーカー室は、どなたでもご利用いただけます。お気軽にご利用下さい。


第25号 平成8年12月発行
虚血性心臓病と最新型RI検査

 近ごろ、運動不足や食べすぎ飲みすぎのため、肥満になったり血圧が上昇したりしている人が増えてきました。タバコをすって、大酒を飲んでストレスを発散する人も増えています。このような生活を続けると狭心症や心筋梗塞という病気に罹りやすくなります。この病気は、心臓の筋肉に十分な血液が流れないために酸素や栄養が足りなくなるので胸がいたくなったり圧迫される症状が出てきます。

狭心症や心筋梗塞を診断するために、問診・聴診・心電図・胸部レントゲンなどの検査は必要です。しかしより一層大切な検査にRI(アールアイ)検査があります。RI検査とはラジオアイソトープを使い、心臓に関しては心筋シンチグラフィが代表的な検査です。

 このシンチグラフィは外来でも可能な検査です。朝食をとらず午前9時頃に来ていただき、自転車のペダルをこぐ運動を 5分から10分くらいしていただきます。その後、RI検査装置で心臓の写真を午前10時頃と午後1時頃それぞれ2回撮影します。

 この検査をすることで、狭心症や心筋梗塞についてよりくわしい情報がえられます。特に心臓のどの部分が病気なのかわかります。さらに血液が不十分な虚血になっている心筋が、すでに活力のない心筋(心筋梗塞)なのかあるいはまだ活力のある心筋(狭心症)なのかの判断にも有用なのです。このRI検査は点滴の針をさす程度のあまり苦痛のない検査です。

 心筋シンチグラフィ以外にも様々なRI検査があり、骨シンチグラフィや脳血流シンチグラフィなども重要な検査です。RI検査はそれぞれの目的によって様々な種類があります。この度1996年 8月、当院に最新型のRI検査装置が導入された事により、今まで以上に診断情報データがくわしくわかります。

 以上、RI(アールアイ)検査について簡単にご紹介しました。


第26号 平成9年2月発行
新設コーナー『栄養看護外来』のご紹介 〜看護師に気軽に声をかけてください〜

 「外来の看護婦さんはいつも忙しそうで・・・・・・」という声を、どこの病院でもよく耳にします。そんな方に、とっておきのニュースです。

 昨年9月糖尿病外来が中央棟1階に移転、これを機に『栄養看護外来』というコーナーを開設しました。このコーナーは、栄養士と看護婦が、食事・運動・血圧・インスリン注射等、日常生活全般についてや、その月のテーマについて相談にのっております。

 糖尿病に限らず、高血圧、高脂血症等の慢性の病気で長期にわたり上手にコントロールしていくことは、並大抵のことではありません。長い間にお薬を飲み忘れてそのまま治療を中断してしまったり、食事療法が面倒になってしまったという事はありませんか。そして、病気や合併症に対する不安、検査や手術・入院に対する不安、また、ご家族の健康や介護と様々な心配事をかかえていらっしゃるのではないでしょうか。

 そんな時に、このコーナーの看護婦に気軽に声をかけて相談してください。姿が見えない時は処置室におります。お薬をもらいに来た時にも、ちょっと立ち寄って血圧や体重を測ってみましょう。

 『栄養看護外来』は、皆さんのコーナーです。

インフルエンザ襲来!!

この冬は、新型インフルエンザの出現が話題になっています。古典的インフルエンザであるスペイン風邪は、1918〜 9年の間に死者2100万人を出しました。しかしこの時は、インフルエンザに合併した細菌性肺炎による死者が多く、抗生物質の発展した現在では、これほどの死者を出す可能性はありません。それでも、高齢者や急性、慢性の病気を持っている方では、インフルエンザが重症になることがありますので注意が必要です。

 新型インフルエンザは、鳥、ブタなどで様々な型のインフルエンザが流行り、それが人間にうつることで出現します。しかし、普通は動物の病気は人間にうつりませんので、十年に一度くらいしか新型インフルエンザは出現しません。

 インフルエンザは、頭痛、筋肉痛、関節痛などから、発熱、鼻水、鼻づまり、のどの痛みなどの症状があります。約半数は細菌感染を合併し、抗生物質が必要なこともありますので、早めに病院を受診してください。その他は、症状を抑えるための治療がほとんどですが、新しい治療薬の治験を当院で実施中です。この薬剤は、ウィルスに直接作用し従来のA型、B型インフルエンザの他、新型インフルエンザにも効果があると期待されています。

 ワクチンは、インフルエンザの型により効かないこともあることなどから、日本では不信や誤解があります。また、新型インフルエンザにはまだワクチンがありません。しかし、従来のインフルエンザにはワクチンは有効ですし、欧米ではワクチンの接種率は年々増加しています。残念なことに日本では、集団接種が中止されてからワクチンの生産が縮小され、現在充分にワクチンが供給されない状況です。 最も大切なことは、インフルエンザに負けない体力を日頃から付けておくことや、うがい、手洗いなど、誰でも出来る予防をきちんと行うこと、と言えるでしょう。


第27号 平成9年6月発行
がん告知について、患者さんへのお願い    消化器内科・外科グループ

消化器内科・外科グループ

 最近、医療に心が欠けているのではないかとの言葉をよく聞かれます。医療が専門分化し、より生物学的、機械的に患者さんを診ることに重点が置かれ、個人を対象とした人間的な医療が軽視されていることへの批判です。以前には”知らしむべからず”といった隠された医療が行われていた時代がありました。

 しかし現在は情報公開の時代であり、”インフォームド・コンセント(十分な理解と同意)”と言う、患者さんに医学上の情報を開示する方向に変わってきました。”がん”という病気は、診断治療が進歩した現在では、根治しうる病気であり、けっして不治の病ではありません。このような状況下に、私たち医療者は”機械的”医療に偏らず、より”人間的に”なるような医療を心がけていきたいと願っております。”がん”という病気についも、患者さんの知る権利を尊重する立場から、できるだけ正確な情報を開示し、患者さん、家族の皆さんと共に相談しながら治療を行う方向を目指していきたいと思います。

 当院では図に示したアンケート形式の質問票を皆さんにお渡ししますので、自由な意志で御記入下さい。この質問票のご回答にもとづいて”がん”告知を望まれる患者さんには、”がん”についての情報を正確にお伝えすることにします。つきましては皆様方の御協力をお願いいたします。


質問票

患者さんへのお願い

患者さんが「がん」などの病気になった時、当院では原則的にご本人のお気持ちを確認した上で、病名をお知らせしております。現在のあなたのお気持ちに該当する項目に○印をつけて下さい。

●「がん」などのような病気になった時

  1. 病名を知らせてほしい
  2. 病名を知りたくない
  3. わからない

●病名を知りたくない時は、誰に知らせてほしいですか。

  1. 配偶者
  2. 子供

4)その他

年 月 日

       氏名

ご不明な点がありましたら、看護婦にご相談下さい。

信楽園病院


第28号 平成9年9月発行
中途視覚障害者のリハビリテーション外来       

中途視覚障害者のリハビリテーション外来

わが国の視覚障害者は、35万人といわれています。そのうち8割は成人後に視力を失ったいわゆる中途視覚障害者です。中途視覚障害者の方は、子供の頃から視力を失い盲学校などでそれなりに訓練を受けてきている人とは違い、様様な問題を抱えております。たとえば、中途失明して職場を失い、どうすればいいのか悩んでいる人が多くおられます。失明を目前にした人や、すでに失明した人は一度は「死」を考えるといい、不安と悩みは私たちの想像を絶するものがあります。この人たちには、その道の専門家が相談にのり、不安や悩みを聞き、どうしたらよいか共に考えることが大切です。また、歩行や食事・調理などの日常生活の訓練は、早く行うほど自信につながり、自助の助けとなります。離婚や離職などの悲劇を避けることができるかもしれません。

 当院では、埼玉や東京から歩行訓練士に来ていただいて、眼科医、内科医(糖尿病医)、視能訓練士が中心となって、失明を目前にした人またすでに失明した人の相談や、その人にあっためがねを選択しその使い方を指導するロービジョン(低視力)クリニック、日常の生活指導を行う「中途視覚障害者のリハビリテーション外来」を1994年 5月から開設しています。ご本人は勿論のこと、ご家族の方々のご利用をお待ちしております。  

■外来日

● 毎月第2・4火曜日 12時30分〜16時

■場所

● 信楽園病院 第11診察室

■内容

● 悩みの相談コーナー
● 歩行訓練
● ロービジョン(低視力)クリニック

(弱視めがねの選択とその使用方法など)

● 日常生活に便利な器具類の照会

拡大読書器、時計、電卓、体温計、調理器、安全つえ、点字器
タイプライターなど

● 視覚障害者用パソコン教室
● 点字、その他


第29号 平成10年1月発行
新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。

 昨年は金融機関をはじめ、日本経済が大変難しい時期にあることを実感いたしました。   

 医療福祉にもしわ寄せがきて、医療費の縮減が声高に叫ばれ、患者さんの負担増など、皆さんも大変ですが、病院も厳しい状況を迎えています。しかし、こういう時期であるからこそ、「病院は患者さんのためにある。」という基本理念に立ち、やさしさと誠実さをもって、皆さんの信頼に応えていかなければならないと考えています。

 当院は、主として成人病を取り扱う専門病院として、予防、診断、治療から、リハビリテーション、在宅医療まで、一貫した医療をめざしてきました。内科は、腎臓、呼吸器・感染症、消化器、循環器、糖尿病・内分泌、神経内科と専門分野に分れ、外科、脳外科、整形外科、リハビリテーション科、放射線科、眼科も加わり、各々技術の向上に努めるとともに、お互いの協力を密にして、患者さんを全体的に診ることを大切にしています。そのために、病棟も単科の専属とはせず、主に脳疾患、主に消化器病などと分けた上で、内科系と外科系が助け合って診療にあたっています。とくに、透析治療は日本の先駆的役割を果たし、長期に良好な成績をあげ、合併症が発生した場合は、外科、整形外科をはじめ、全科をあげた協力体制をしき、県内各所の透析施設の信頼を集めてきました。

 昨年は、当院の外来透析患者さんの増加により、西川町に信楽園西川診療所を開設しました。透析を中心に地域のお役に立っていきたいと思います。

 MRI、新型CTなど最新の医療機器の充実をはかることは当然ですが、人間ドックなど検診業務の充実や救急体制の整備など、病気の早期発見、早期治療に役立てなければなりません。また、腎不全管理の講習会、栄養看護外来、骨粗しょう症外来、中途視覚障害者のリハビリテーションなど、特色のある医療活動を発展させたいと思います。世間にさきがけて取り組んできた在宅医療も、有明訪問看護ステーションとして実を結び、特別養護老人ホーム、松風園・有明園への医療協力や、ケースワーカーの活動を通して、地域医療に密着し、生活に根ざした巾広い医療・福祉に力を尽くしていきたいと考えています。

 現代は、情報公開の時代であり、医療の場では、「インフォームド・コンセント」(十分な理解と同意)が大切といわれています。患者さんは自分の病気について正確に知る権利があり、治療方針についても、その決定に参加し、最終的に同意して、自身も責任を持つことです。そのためには、患者さんと医療スタッフとの信頼関係が重要なことはいうまでもありません。本年も医療能力が高く、イン フォームド・コンセントが行われ、患者さんの側に立った医療・福祉を提供できる病院づくりに、職員一同一層の努力を重ねて行きたいと思います。 皆さまのご参加、ご協力をお願い申上げるとともに、ご多幸をお祈りして、新年のご挨拶といたします



第30号 平成10年2月発行
インフルエンザ襲来

この冬は、新型インフルエンザの出現が話題になっています。古典的インフルエンザであるスペイン風邪は、1918〜 9年の間に死者2100万人を出しました。しかしこの時は、インフルエンザに合併した細菌性肺炎による死者が多く、抗生物質の発展した現在では、これほどの死者を出す可能性はありません。それでも、高齢者や急性、慢性の病気を持っている方では、インフルエンザが重症になることがありますので注意が必要です。

 新型インフルエンザは、鳥、ブタなどで様々な型のインフルエンザが流行り、それが人間にうつることで出現します。しかし、普通は動物の病気は人間にうつりませんので、十年に一度くらいしか新型インフルエンザは出現しません。

 インフルエンザは、頭痛、筋肉痛、関節痛などから、発熱、鼻水、鼻づまり、のどの痛みなどの症状があります。約半数は細菌感染を合併し、抗生物質が必要なこともありますので、早めに病院を受診してください。その他は、症状を抑えるための治療がほとんどですが、新しい治療薬の治験を当院で実施中です。この薬剤は、ウィルスに直接作用し従来のA型、B型インフルエンザの他、新型インフルエンザにも効果があると期待されています。

 ワクチンは、インフルエンザの型により効かないこともあることなどから、日本では不信や誤解があります。また、新型インフルエンザにはまだワクチンがありません。しかし、従来のインフルエンザにはワクチンは有効ですし、欧米ではワクチンの接種率は年々増加しています。残念なことに日本では、集団接種が中止されてからワクチンの生産が縮小され、現在充分にワクチンが供給されない状況です。 最も大切なことは、インフルエンザに負けない体力を日頃から付けておくことや、うがい、手洗いなど、誰でも出来る予防をきちんと行うこと、と言えるでしょう。


第31号 平成10年7月発行
遺伝子と診断
最近では、誰もが遺伝子ということばを耳にするようになっています。我々人間を含む生命体をかたちづくったり、命を営んでいくために必要な蛋白は、全てこの遺伝子をもとに作られます。遺伝子は親から子へと、体質として伝えられていく情報源ですが、これに異常が生ずると、様々な遺伝病が発症することはよく知られています。さらに、ある種の悪性腫瘍の発症や、感染症、一般的な高血圧、糖尿病など、本来は遺伝病でないといわれる疾患でも、遺伝子異常が関与していることがわかってきています。

 当院では、神経内科領域の一部の疾患について、遺伝子診断を行っています。例えば、中年期以降に歩行困難、構音障害、書字障害、あるいは自律神経失調症などが出現し、進行していく脊髄小脳変性症や、筋力低下筋萎縮が進んでいく筋緊張性ジストロフィーなどです親が病気だったため、自分もいつかは発症するものと思って結婚しなかった方が、遺伝子診断で異常がないことがわかって、安心して子をもうけた例があります。
 また、、髄膜小脳変性症であっても、ほとんど進行しないタイプであることが、遺伝子を調べることで明らかとなり、安心されて、その後も元気に暮らすことができたという例もあります。しかし逆に、まだ健康であるのに、将来発症することがわかってしまった場合、その失意はいかばかりかと思います。現時点では、こうした遺伝病の多くは、まだ治療法がわかっていないため、病気の危険性を持つ家族の方々への遺伝子診断は、乱用すべきではないと考えています。

 診断は、主治医と患者家族が十分に話し合って、必要なときにのみ行っています。"遺伝病は、治らないから診断だけつけても仕方がない"とは、ときどき耳にすることばです。しかし、遺伝子のどこに異常があるかわかることで、いずれは治療法の開発につながるであろうことを私たちは切に期待しています。


第32号 平成11年1月発行
新年のご挨拶
新年をどのような思いでむかえられましたでしょうか。健康で明るい年になることを願いたいものです。               
昨年は不景気の影響で国の財政も悪化し、病院受診の際の医療費も薬剤費の自己負担制度の導入により増加し、医療が受けにくくなったといわれています。誰でも平等な医療が受けられるという日本の皆保険制度が医療保険の大幅赤字から見直されようとしています。病院にとっても薬価切り下げなど診療点数の見直しが行われ、きびしい診療環境となっています。欧米に比べて長い在院日数(入院期間)の短縮化が求められ、このため急性期(発病早期)の検査、治療の迅速化、早期退院後家庭で受け入れるための準備、関連施設との連携の必要性が高まっています。
                
 医療保険とは別に来年4月より老人保健施設、特別養護老人ホーム、療養型病床に対し介護保険の導入が決まっていますが、具体的な運用についてはいまだにはっきりしていません。  このように不透明な、不安の多い時代ですが、当院では「病院は患者さんのためにある」を基本理念に、主として成人病を取り扱う専門病院として、常により良い医療の提供に努め、やさしさと誠実さをもって患者さんの信頼に応え、さらに、地域社会における病院の役割を自覚しこれからも地域住民の疾病の予防、予防、診断、リハビリテーションについて一貫した医療を行って行く方針です。

 これまでに整備した、MR、高速CT、骨密測定器など最新の医療機器などを活用し日常診療はもとより救急医療体制の充実をはかり、地域に密着した医療を目指します。これまで一部病棟で服薬指導を行ってきましたが、今年早々に外来でも薬剤についての情報を提供できるよう準備中です。

 昨年より設置しました投書箱には多くの病院に対するご意見、苦情またはお礼の言葉などを頂き大変参考になり、役立たさせていただきました。今後もお気付きの点をおよせいただければ幸いです。この情報紙「信楽園病院だより」のこれまでの内容、病院案内などを載せたインターネットホームページ(アドレスは本誌上欄に掲載)も開設していますので覗いてみてください。
気軽に受診でき、地域の皆様にも納得のいただける質の高い医療を目指して、病院全体で努力したいと思います。本年もよろしくお願いいたします。


第33号 平成11年2月発行
かぜ・インフルエンザご注意に!!
かぜの中には、普通感冒やインフルエンザなどがあり、くしゃみ、鼻汁、咽頭痛、喀痰、などの呼吸器症状や、頭痛、発熱、腰痛、倦怠感などの全身症状があらわれます。また、下痢や腹痛などの消化器症状がおこることもあります。

 普通感冒は、私たちがふだん「かぜ」と呼んでいるものです。鼻が出たり喉が痛かったりしますが、一般的に軽い症状です。徐々に発症し、予後は良好で1週間ほどでなおります。全身症状はほとんどありません。発熱はないか、あっても37度台です。
 これに対しインフルエンザは寒気や倦怠感、あるいは全身の筋肉の痛み、頭痛などで始まります。急性に発症し、かぜに比べて熱も高く(39〜40度)、しかも何日も持続します。

 発熱はもともと微生物に対する防御反応のひとつで、ウイルスの活動を鈍らせたり、微生物を外へ追い出す線毛運動の働きを活発にする良い働きがあります。発病初期の発熱をむやみに下げるのは疑問がもたれます。とはいっても、40度も熱がでれば苦しいですし、心配です。発熱によって体や精神が必要以上に衰弱しそうなときや、長い間高熱が続くときには「解熱鎮痛剤」などで下げます。鼻水も炎症反応のひとつで、その中には微生物の感染を抑える成分が含まれています。咳と痰は、病原微生物をひとまとめにして外へ出す働きがあり、症状はそれぞれ病気回復に対する役割をもっています。したがって、これらの症状が著しく強いときに、その人の全体の状況を考えて薬が処方されます。

かぜの養生のポイント
保温…温度条件を寒くすると、発熱反応が加速 されますから体を冷やさないように、しっかり保温しましょう。
睡眠…睡眠時は、抗体をつくるリンパ球の活動が促進されます。つまり睡眠を充分とることによって抗体をたくさん作る能力(ウイルスを中和する能力)が上がり、回復が早くなります。
栄養…栄養のあるものを食べ、水分を補給することも大切。極端に食欲がおちている場合は、おかゆなど水分を含むものをとりましょう。


第34号 平成11年3月発行
糖尿病の合併症を予防するために!!
血糖の高い状態が長く続くと、身体中の血管や神経が侵され、網膜や腎症など様々な合併症が生じます。このような合併症を予防するためには、患者さん自身の日常生活が深く関係します。まずは自分の状態を正しく知ることです。身長、体重、ウエストのサイズ、足に傷や靴擦れはないか、体の隅々までチェックします。特に体重測定は自宅でできる簡単な自己管理です。ヘモグロビンA1c、コレステロール、合併症の程度を正しく把握しておくことも重要です。定期的に検査を受け、医師から評価を聞き、コントロールが悪い時は何が悪かったかを調べ、逆に良いときは何が良かったかを振り返り、今後もよい状態を維持していく努力が必要です。
糖尿病の治療で、最も大切なことは食事療法です。糖尿病食は理想的なバランス食であり、素材や品数を多くする工夫や、食べるタイミングも大切になってきます。食事療法とは「食べてはいけないこと」ではなく「上手に食事を楽しむこと」です。外食をした際は、家に帰ってから血糖自己測定を行ない、予想以上に高ければ、何が悪かったのかをよく反省し、次回に役立てるようにします。
次に大切なことは運動療法です。長続きできて楽しく体を動かすことなら何でもいいのです。
その他には、ストレスをためないことです。スポーツをしたり、美術館やショッピングに行ったりと自分に合った方法が良いでしょう。ただし、アルコールや過食でストレスを解消するのは良いことではありません。また糖尿病のことばかり考え、神経質になりすぎるのもよくありません。


第38号 平成12年1月発行
あけましておめでとうございます   看護部長 和栗 静子
あけましておめでとうござうます。
2000年問題(コンピュータの誤作動)によるライフラインや各分野でのトラブルが予測され、災害時並の対応に明け暮れた感じでしたが、新年をいかがお迎えでしょうか。暮れには老人医療費の一割負担(7月より実施予定)が決まり、利用される皆様も病院も、更に厳しい状況を迎えることになりそうです。このような情勢の中、病院に来られて安心できるあたたかい環境づくりをしていきたいと、看護部では12年度の目標を次のように掲げました
1. ひとりひとりの健康回復に向けてあたたかいケアーを行い『心のかよった看護』を目指します
2. 常に 安全、安楽を心がけます
  @ 安全な医療を提供します
  A 苦痛の緩和に努めます
 少しでも、皆様の健康回復へ向けて、お手伝いができますよう努力する覚悟です。
 ご存じの方も大勢いらっしゃると思いますが、信楽園病院は日本海に面した、ここ西新潟地区に、昭和6年結核療養所として10床からスタートし、68年経った現在、341床の成人病を取り扱う専門病院として、予防から在宅医療までの一貫した医療を目指してきました。昨年末にはようやく念願の看護外来を開設することが出来、一月末には模様替えも終わり、栄養外来から独立して本格的にスタートできる運びになりました。糖尿病の方のご相談を主に受けておりましたが、在宅酸素療法の方、腎臓病の方、その他ご心配のある方はどうぞお気軽にご相談ください。また、外来では専門外来として骨粗鬆症外来(毎月曜日午後)、甲状腺外来(第一・三水曜日午後)を、勉強会として外来糖尿病教室(第二水曜日午後)を開いております。また、入院病棟は7病棟あり、患者さん2人に看護婦1人が勤務し、ケアーや相談に応じたり、病棟によっては節分豆まき、七夕様、運動会、クリスマス会等一緒にひとときを過ごしております。
 今年四月には赤塚の特別養護老人ホーム松風園の隣に、「信楽園あかつか診療所」と老人保健施設「あかつか苑」を開設する予定となっております。これからも地域の方々とともにぬくもりのある関わりをつなげていけたらと思っております。


第41号 平成12年9月発行
皆さまの療養生活をサポートしています   看護相談室
看護相談室を開設して半年がたちました。当院を退院して在宅で療養生活中の患者様、あるいは外来で診療を受けている患者様と、そのご家族に対して療養指導を行い、心理的なサポートも含め安心して在宅療養ができるよう援助することを目的としています。主に糖尿病の患者様の生活指導をしながら、医師や病棟ナースからの依頼に応じた指導相談を行っています。部屋は栄養看護外来の隣に、小さいですが個室を設けました。プライバシーを考慮し、少しでもリラックスして会話ができるようにと作ったものです。
 現在のところ糖尿病の患者様に自己注射の仕方、インシュリン注射の量の設定、お腹の注射部位のチェックや、足病変のチェックなどを行っています。
 個室で対応することで患者様も緊張感が少なく、じっくりと話ができると喜ばれています。今は依頼票が出たときの対応が中心ですが、たとえば、正しい血圧の測り方や、骨粗鬆症の予防のための食事や、運動についてなど、日常生活での不安や相談したいことがありましたら気軽に看護婦にご相談ください。少しでもお役に立てればと考えております。


第43号 平成13年1月号
ボツリヌス療法とは   神経内科 田中 一
「眼瞼(がんけん)けいれん」や「片側顔面けいれん」に対する新しい治療法が日本でも広がりつつあります。ボツリヌス毒素を注射するもので、対症療法ながら少ないリスクで大きな効果が得られることから、期待が集まっています。当院でも定期的(毎週金曜日午後)に同療法を行っていますので、紹介いたします。
 眼瞼けいれんでは、両まぶたの刺激感や不快感などを感じ、まばたきが増えます。次第にけいれん頻度が増し、まぶたを開けられなくなることもありますが、確かな原因は、わかっていません。片側顔面けいれんは、片方のまぶたのけいれんから始まり、進むと口の周りまでけいれんします。原因は、頭蓋内の血管が顔面神経を圧迫するためと考えられます。
 ボツリヌス療法は、ボツリヌス菌が産み出す毒素を薬品として注射し、筋肉のけいれんを止める療法です。日本では、1997年に眼瞼けいれん、2000年1月に片側顔面けいれんに保険適用となりました。症状の改善率は、80〜90%で、1回の注射で効果は3〜4ケ月続きます。数ヶ月おきに注射を繰り返す必要はありますが、患者さんの負担や副作用を考えると、ボツリヌス療法が第一選択の治療法と考えられます。
 二つの病気は直接生命に関わるものではありませんが、顔や目という部位に症状が出るために、日常生活での精神的苦痛は小さくありません。それだけに、一人で長い間悩み続けている人が多いのも事実です。そのような患者さんたちにとって、ボツリヌス療法が生活の質を大きく変える福音であることは間違いないことと思います。


第45号 平成13年9月
マンモグラフィー(乳房X線撮影装置)のご紹介   外科 林 光弘 
 “マンモグラフィー”聞きなれない装置の名前ですが、みなさん御存知でしょうか?乳腺疾患の診断には欠かせない高性能のレントゲン装置のことです。
 現在、女性に発生するがんのなかで乳がんは2番目に多いがんです。しかし早期に発見することにより比較的“治りやすい”がんともいえます。今までは、触診のみで発見しようとしていましたが、熟練した医師でも1cm以下のしこりを発見するのはなかなか難しいことでした。ましてや、しこりとして触ることのできないがんに対しては全く無力でした。最近ではこのマンモグラフィーを一般の診療のみならずがん検診にも利用しようとするのが当たり前になりつつあります。
 今回当院に導入されたマンモグラフィーはマンモグラフィー先進国であるフィンランド製の最新型で(写真)、この装置で検査することにより1cm以下のしこりやまったくしこりとして触れない超早期のがん(非浸潤がんといいます)をも発見することができます。こうして早期に発見できれば乳房を全部切除しなくてもしこりの部分のみをくりぬく手術法(乳房温存療法といいます)で治療することができます。今後こうした小さなしこりに対しては当院でも乳房温存療法を積極的に行なう予定です。そして、マンモグラフィーの検査自体は数分で終わる簡単なものですし、1回の検査で乳房にかかる放射線の量は東京からサンフランシスコまで飛行機に乗ったときに自然界から浴びる放射線の量とほぼ等しいとされていて非常にわずかな量といえるでしょう。また、検査にたずさわる技師は専門の資格をもった女性があたりますので心理的な負担も軽いのではないでしょうか?。
 現在、乳房にしこりがあるのではと心配な方、あるいは乳がん検診をうけてみたいと考えていらっしゃる方は気軽に外科外来へ御相談下さい。